Roxy Music / Angel Eyes - 退廃と高揚が交差する、都会派Rock Discoの美学

Roxy Music / Angel Eyes

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退廃と高揚が交差する、都会派Rock Discoの美学

1979年という時代の転換点において、RockとDisco、そしてEmergingなNew Waveの感覚を見事に融合させたのがRoxy Music / Angel Eyes です。アルバム Manifesto に収録のオリジナルは3分台のコンパクトな楽曲でしたが、クラブでの反応を受けて再構築されたこの12インチシングルでは、約6分半に拡張され、その真価が余すコトなく引き出されています。もともとRoxy MusicというバンドはRockという枠組みに収まりきらない美意識を持ったグループでしたが、このAngel Eyesではその感覚がダンスフロアへと向けられ、Rockの骨太さ、Discoの肉体性、そして80年代へ向かうNew Wave的な冷たい質感がひとつのサウンドとして溶け合っている。まさに70年代の終わりと80年代の始まり、その境界線に立っているような独特の魅力を持った1曲なんですよね。


4つ打ちのビートが引き出したRoxy Musicのダンス・グルーヴ

針を落とした瞬間、ソッコー飛び込んでくるのはタイトに刻まれる4つ打ちのビート…その上を滑るように絡むパーカッション、うねるベースライン、そしてエッジの効いたギターリフが一体となり、フロアを確実にロックするグルーヴを形成します。Rock由来の骨太さを残しながらも、明らかにダンスフロアを意識した設計で、当時のDiscoシーンにおいても異彩を放つ存在でした。いわゆるDiscoバンドが演奏するサウンドとはドコか質感が違っていて、ギターやベースにはRockバンドならではの生々しさがシッカリ残されている。それでいて4つ打ちのキックが全体を強固に支えるコトで、フロアではカラダが自然と反応してしまう。この「Rockなのに踊れる」というよりも、「RockとDiscoの境界そのものを曖昧にしてしまった」ような感覚が実にRoxy Musicらしいんですよね。


冷ややかなシンセとダビーな展開が描くNew Wave前夜

特筆すべきは、シンセサイザーのアルペジオが生み出す冷ややかで艶のある音像です。これはまさにNew Wave前夜の空気をそのままパッケージしたかのようで、後のシーンに多大な影響を与えた要素のひとつと言えるでしょう。温度を抑えたシンセの反復が鳴るコトで、ファンキーなリズムセクションの上にどこか人工的で未来的な質感が加わり、それまでの70年代Discoとは明らかに違う景色が浮かび上がってきます。中盤以降はエコー処理を強調したダビーな展開へと移行し、音の抜き差しによってグルーヴを増幅させていく構成は、現代のDJ視点で聴いても非常に秀逸です。すべての音を鳴らし続けるのではなく、一度引いて空間を作り、そこから再びリズムを戻すコトで高揚感を生み出す…この長尺ならではの展開は、3分台の楽曲では味わえない12インチの醍醐味でしょうね。


Bryan Ferryのヴォーカルが醸し出す夜の都会的孤独

Bryan Ferryのヴォーカルは甘くもどこか醒めた響きを持ち、楽曲全体に漂うデカダンスなムードを決定づけています。熱く歌い上げるワケではないのに、その抑制された声から独特の色気が滲み出してくる…この距離感が実にカッコイイ。リリックは恋愛の駆け引きや幻想的な魅力をテーマにしながらも、どこか現実との距離を感じさせる内容で、この曲の持つ「夜の都会的孤独」ともリンクしています。キラキラとしたDiscoの華やかさだけではなく、その光の裏側にある寂しさや退廃までを同時にカンジさせるトコロが、この曲を単なるダンス・ナンバーでは終わらせない理由でしょうね。ネオンの光が濡れた路面に反射する深夜の街…そんな光景が自然と浮かんでくるようなサウンドで、フロアで踊っていてもドコかひとりで音楽を聴いているような不思議な感覚を与えてくれます。


12インチでこそ体感したいRockとDiscoの境界線

当時のUKチャートでもヒットを記録し、RockバンドでありながらDiscoフィールドでも評価された稀有な存在として知られる本作。その後もクラブミュージックの文脈から再発見され、世代を超えてDJたちにその魅力を見出されてきました。それも当然で、この12インチには単なるRockのExtended Versionでは片付けられない、DJがフロアで使いたくなる仕掛けがシッカリと刻み込まれているんですよね。約6分半という尺の中で、ビートをじっくり味わい、シンセの反復へ身を委ね、ダビーな展開から再びグルーヴが戻ってくる瞬間を待つ…こうした時間軸そのものを楽しめるのが12インチの面白さです。タキシードに身を包み、ネオンが滲む夜の街を駆け抜けるような感覚…その高揚と退廃が同時に押し寄せてくるこの1枚。Rockとダンスミュージックの境界を軽やかに越えた、この時代ならではの洗練をぜひ体感してほしいですね。針を落とせば、1979年という時代が持っていた華やかさと危うさ、その両方が目の前に立ち上がってくるハズですよ。

 

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